山形県の地名
自治体 | 初見年 | 正式採用年 | 名称の由来 | 主な旧称(時期) |
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山形市 | 15世紀前半 | 1889 | “山のかた(縁・側)”を指す古い地形語が語源とされ、のち山形に整字・定着。最上氏の城下形成で都市名として広まる(室町後期文書に山形)。 | 山形(城下)【17世紀初頭〜1860年代】/山方(古形)【14〜15世紀】 |
米沢市 | 13世紀前半 | 1889 | “米の実る湿地・谷”=沢に通じる和名系。中世の荘名米沢荘・城下名を継承し市名に。 | 米沢荘【13〜16世紀】/米沢(城下)【1600年代〜1860年代】 |
鶴岡市 | 1603 | 1924 | 城名鶴ヶ岡城に由来する城下名。慶長年間に築城・町割が進み、瑞祥の“鶴”と“岡”の好字が定着。 | 鶴ヶ岡(城下)【1600年代〜1860年代】 |
酒田市 | 15世紀後半 | 1933 | 最上川河口の港町名に由来。語源は諸説(砂州・洲の景観説、港湾機能説など)。中近世を通じ酒田湊として繁栄。 | 酒田湊【17〜19世紀】 |
新庄市 | 13世紀前半 | 1949 | 荘園名新荘(しんじょう)に由来。のち新庄に整字され、藩庁の城下として定着。 | 新荘【13〜15世紀】/新庄(城下)【1600年代〜1860年代】 |
寒河江市 | 12世紀末 | 1954 | 川名寒河江川に由来。中世には寒河江荘が立てられ、在郷町を経て近代の市名へ。 | 寒河江荘【12〜15世紀】/寒河江(町)【17〜19世紀】 |
上山市 | 16世紀前半 | 1954 | “上(高所)の山”を示す在地語に由来。城名上山城・温泉町の名として普及し、市名へ。 | 上山(城下・温泉町)【17〜19世紀】 |
村山市 | 10世紀前半 | 1954 | 古代郡名村山に由来。広域呼称が近代の市名に継承。 | 村山郡(広域名)【10〜19世紀】 |
長井市 | 13世紀半ば | 1954 | “長い井(用水)・水路”に通じる和名説や在地氏名との関連説がある。中世以来の在郷町名が市名へ。 | 長井(在郷町)【17〜19世紀】 |
天童市 | 15世紀前半 | 1958 | 寺社名や修験伝承に通じる天童の語を地名化。のち城下・在郷町として定着。 | 天童(城下・在郷)【16世紀末〜19世紀】 |
東根市 | 15世紀後半 | 1958 | 山地の根(山裾)に位置することを示す方位合成名東根。中近世の城・宿の名として普及。 | 東根(宿・在郷)【17〜19世紀】 |
尾花沢市 | 15世紀後半 | 1954 | ススキの穂=尾花の群生にちなむ植物名と沢地形の結合と解される。 | 尾花沢(在郷町)【17〜19世紀】 |
南陽市 | 1967 | 1967 | 旧赤湯・宮内・和郷の合併時に採用した瑞祥合成名。「県南の陽光に恵まれる郷」の意。 | 赤湯町/宮内町/和郷村【〜1967】 |
山辺町 | 15世紀半ば | 1954 | “山の辺(山すそ沿い)”を表す地形名に由来(読み:やまのべ)。 | (昭和29年、町村合併で現町域が成立) |
中山町 | 15世紀半ば | 1954 | “山々の中・峠の中間”の意を表す在地名に由来。 | (昭和29年、町村合併で現町域が成立) |
河北町 | 1954 | 1954 | 最上川の北(河北)側に位置することからの合成名。 | (昭和29年、谷地周辺の町村合併で発足) |
西川町 | 1954 | 1954 | 最上川の西側・月山麓の地域を指す合成名。 | (昭和29年、月山麓の町村合併で発足) |
朝日町 | 1954 | 1954 | “旭日・明るさ”にちなむ瑞祥命名(合併時に採用)。 | (昭和29年、最上川右岸の町村合併で発足) |
大江町 | 15世紀頃 | 1954 | 大きな江(潟・淵)や川の淀みを指す水辺語に由来とされる。 | 大江(在郷)【15〜16世紀】/(昭和29年、旧町と周辺村の合併で再編) |
大石田町 | 16世紀前期 | 1954 | 大きな石が露出する田・段丘縁の地形にちなむ在地名。最上川舟運の河岸場としても著名。 | 大石田(河岸場)【17〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
金山町 | 16世紀前期 | 1954 | 砂金・鉱山開発にちなむ金山系地名。採掘史とともに地名が広がる。 | 金山(在郷村)【17〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
最上町 | 10世紀前半 | 1954 | 古代郡名最上および大河最上川に由来。郡名の継承。 | 最上郡(郡名)【10〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
舟形町 | 16世紀前期 | 1954 | “舟形”の山容・丘陵や舟運の要地にちなむ地名とされる。 | 舟形(在郷)【17〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
真室川町 | 16世紀前期 | 1954 | 川名真室川に由来。澄む流れ=“まむろ”に通じる解がある。 | 真室川(村)【17〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
大蔵村 | 16世紀前期 | 1889 | 年貢・物資を収める大蔵(おおくら)にちなむ在地名の系統。 | 大蔵(村)【17〜19世紀】 |
鮭川村 | 15世紀半ば | 1889 | 川名鮭川に由来。遡上魚名にちなむ全国的な川名・地名の一類型。 | 鮭川(村)【17〜19世紀】 |
戸沢村 | 14世紀半ば | 1889 | 沢地形の入口(戸)にちなむ呼称、または在地氏戸沢氏名に由来とされる。 | 戸沢(郷)【14〜16世紀】 |
高畠町 | 14世紀後半 | 1954 | 段丘の高みの畠にちなむ和名系。古刹・古墳群の分布とも重なる。 | 高畠(在郷)【15〜16世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
川西町 | 1954 | 1954 | 置賜盆地を流れる川の西側に位置することからの合成名。 | (昭和29年、町村合併で発足) |
小国町 | 13世紀半ば | 1954 | 山間の独立小盆地=“小国”を指す古い地名語。越後山地を介した交通とともに広がる。 | 小国(在郷)【15〜16世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
白鷹町 | 16世紀半ば | 1954 | 瑞鳥鷹と“白”の瑞祥を合わせた近世以降の好字系地名とされる。 | 白鷹(在郷)【17〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
飯豊町 | 14世紀半ば | 1954 | 名峰飯豊山に由来。“豊かな稲(飯)”の瑞祥解も込められる。 | 飯豊(郷)【14〜16世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
三川町 | 1955 | 1955 | 庄内平野の三つの川(地域の主要河川)を意識した合成名。 | (昭和30年、町村合併で発足) |
庄内町 | 14〜15世紀 | 2005 | 広域名庄内に由来。2005年、余目町と立川町の合併時に採用。 | 余目町/立川町【〜2005】 |
遊佐町 | 13世紀半ば | 1954 | 在地名・社名に見える遊佐に由来。鳥海山北麓の門前・湊町として発達。 | 遊佐(郷)【14〜16世紀】/遊佐(湊)【17〜19世紀】/(昭和29年、町村合併で現町域) |
山形県の市町村名は、古代の郡名(置賜・村山・最上・田川・飽海)や、河川名(最上川・鮭川・真室川)、山名(飯豊)、そして近世の城下・宿場・河岸場に由来するものが多く見られます。平成の合併では庄内・河北・西川・川西・三川など、方位・広域名を再活用した命名が目立ちます。
※「初見年」は、現名の由来となった語が史料に現れる最古級の年代(例:『和名類聚抄』=10世紀前半)/「正式採用年」は現行政名としての採用年です。
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嚮明而治
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